先日、福岡でデジタルスキル標準に関するセミナーが盛大に開催されました。本セミナーには業界の専門家を講師に迎え、多くの参加者が集まりました。
講義では、ITスキル標準からDXスキル標準まで企業活用の一貫した考え方や具体的な導入手順について説明され、企業による事例紹介も行われました。参加者たちは熱心に学び、セミナー終了後には各講師による個別の質問対応が活発に行われました。このセミナーは九州地区での学びの機会を提供し、参加者のデジタルスキル向上に大きく貢献しました。

概要

・セミナー名:ビジネスに直結するDX推進人材の戦略的な育成セミナー in 福岡
                   ~ DXを進めるためのヒントはここにあり!~

・開催日時 :2024年9月18日(水)14:00~17:00
・開催場所 :福岡市博多区博多駅前3-25-24 八百治ビル5F エイムアテイン博多駅前会議室 5F会議室
・主催者  :特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会
・参加者数 :約22名(参加率80%以上)

セミナーの目的

急速に進化するデジタル技術の時代において、企業や組織が必要とする次世代のデジタル人材を育成するために、「デジタルスキル標準」を効果的に導入する方法を学ぶことを目的としています。「デジタルスキル標準」の概要や構造を解説するとともに、具体的な導入手順、成功事例、そして活用ツールを詳しく説明します。

プログラム内容

情報提供
・講演者:特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会 専務理事 高橋 秀典 氏
・テーマ:「スキル標準を活用した戦略的人材育成」
・内容 :ITスキル標準からデジタルスキル標準まで企業活用の一貫した考え方と、DXを進める上での具体的なステップと「デジタルスキル標準」の具体的な活用方法について
事例紹介
・講演者:サントリーシステムテクノロジー株式会社(iCD活用企業認証制度:「Gold★★★」取得)
     企画部 人材基盤グループ 課長 瀬戸山 尚子 氏
・テーマ:「人材育成におけるスキル管理システム活用の変遷」
・内容 :サントリーのデジタルへの取り組み・基本思想、IT部門の変遷、キャリアフレームワークの導入経緯、現在抱える課題点や改善ポイント、改善に向けた取り組みなどを紹介
ツール紹介
・講演者:株式会社エス・アイ・エス ソリューション部 部長 小島 明 氏
・テーマ:「『デジタルスキル標準最大活用』~DXスキル標準を活用した人材育成ソリューション~」
・内容 :デジタルスキル標準を導入し、PDCAを確実に回す最も効果的なツール(SSI-iCD)の活用方法を紹介
事務局からのお知らせ
・講演者:特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会 事務局
・テーマ: スキル標準ユーザー協会の活動内容報告
・内容 :当協会の紹介および、委員会の活動報告、企業認証、個人認証、DX推進スキル標準(DSS-P)を企業に導入サポートするサービス紹介(Fast Track DSS-P)、今後予定しているイベントなどを紹介

ハイライト

情報提供のハイライト
今回は、初めて当協会のセミナーに参加する方が多くいらっしゃったため、最初に「スキル標準の概要と歴史」として、ITSSやUISS、iCDなどの背景や発展について詳しく説明しました。これらのスキル標準は、企業が求める人材のスキルセットを明確にし、効果的な育成をサポートするツールとして広く活用されています。
次に、DX時代におけるスキル標準の重要性について解説がありました。高橋氏は、企業がITスキルに加え、ビジネススキルを持つ多様な人材を必要としていることを強調し、特にDX推進においては「DX推進スキル標準(DSS-P)」の活用が鍵であると述べました。DSS-Pを活用し、企業が戦略的に人材を育成・配置することで、競争力を高めることが求められています。
また、「DSS-P」の効果的な導入・活用プロセスについても紹介されました。高橋氏は、スキル標準が単なる理論ではなく、企業の人材育成戦略に直結する実践的なツールであることを強調し、DX推進にはスキル診断だけでなく、企業のビジョンや戦略に基づいた人材育成が重要であると述べました。企業が自社のDX推進計画に基づいてスキル標準を活用することで、長期的な競争力の強化が期待されています。

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事例紹介のハイライト
瀬戸山氏は、サントリーシステムテクノロジー株式会社(SST)がどのようにスキル管理システムを活用して、社員のスキル育成や業務効率化を図ってきたか、今後の取り組みも含めて紹介しました。
まず、SSTの役割について、サントリーグループの情報化戦略の一環として、グループ全体のITシステムの設計・運用を担当していることを説明しました。特に2020年以降、SSTの役割はグローバルなIT基盤の構築、デジタルマーケティングの推進、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)における人材育成に注力していると述べました。
続いて、SSTでは2008年からキャリアフレームワークを導入し、スキル標準に基づく人材育成を進めていることが紹介されました。これにより、社員のキャリアパスが明確化され、必要なスキルや経験が定義されており、スキル管理システム「iCD」を活用して、社員のスキル習得状況を一元管理しています。
さらに、スキル管理システム「SSI-iCD」の詳細が説明され、社員ごとに設定されたタスク評価項目が4段階で評価される仕組みにより、スキル習得の進捗が可視化され、適切な業務アサインが行えるようになっていることが紹介されました。しかし、次のような課題も指摘されました。
・役割の追加や変更に伴うインプット情報の精度低下
・マネジャー間でのスキル管理のばらつき
・組織全体でのスキル把握の難しさと運用負荷
これらの課題に対し、SSTではシステムのシンプル化や、組織目標と連動したスキル管理の強化に取り組んでいます。特に、スキル評価項目を20項目以下に絞り、マネジャーが活用しやすい仕組みを整備しているほか、リスキリングやキャリアパスの見直しを進め、組織全体の競争力向上を図っています。
本セミナーでは、SSTのスキル管理システムの活用と、それを基にした人材育成戦略が共有されました。スキル管理の精度向上とキャリアパスの明確化は、DX推進に向けた強固な基盤を築く重要な要素であることが強調されました。

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ツール紹介のハイライト
小島氏は、ツール(SSI-iCD)の概要や各機能、さまざまな企業における導入例についての説明がありました。また、DSS-Pの導入活用事例として、実際のデモンストレーションを通じて具体的な利用方法を紹介しました。
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事務局からのお知らせのハイライト
事務局からは当協会の活動内容のご紹介として、他団体との連携や、成果物(書籍やISVマップ、Fast Track DSS-P)、委員会(情報交流委員会)への参加募集などの説明を行いました。
また、今後予定しているセミナーやイベントおよび、第二期「スキル標準キャリアコンサルタント/アドバイザー認定資格制度(Silver認証)」の募集についても告知が行われました。

※「スキル標準キャリアコンサルタント/アドバイザー認定資格制度(Silver認証)」についてはこちらからご確認いただけます。