●『DX時代に求められる人材育成の鍵とは』
        特定非営利活動法人 スキル標準ユーザー協会 理事
           スキル標準キャリア開発コンサルタント 松本 道典

昨今、デジタル技術の急速な進展により、企業にとってDX(デジタル・トランス
フォーメーション)の推進は避けて通れない課題となっています。
しかし、DXを成功させるために最も重要なのは、単なる技術の導入ではなく、
それを活用できる「人材」の育成です。

先日、デジタルスキル標準の活用に関するセミナーが博多で開催されました。
【参考: こちらより】
セミナー参加者は、DX推進に向けた人材育成の具体的なアプローチや、企業が
直面している課題に熱心に耳を傾けられていました。
特に、DX推進のためには技術力だけでなく、業務改革やビジネス戦略を理解し、
リーダーシップを発揮できる人材が必要であるという点が強調されていました。
しかし、この『務改革やビジネス戦略』は、従来のIT領域を経験してきた人材
には、なかなかハードルが高い領域だと思います。
ITスキルを駆使してシステム設計を行ってきた人材が、ビジネス設計や業務設計
まで踏み込む必要があるのですから、「そんな人材はどこにいるのか?」
「どうやって育てるのか?」という課題が浮かび上がります。

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DX人材に求められるスキルセット
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DX人材に求められるスキルは非常に多岐にわたります。従来のITスキルに加えて、
特に重要になるのが「データリテラシー」です。データはDXの中心的な要素であり、
適切に収集・分析し、意思決定に活かす能力が求められます。
このスキルによって業務の効率化や新たなビジネスチャンスの発見が可能となり、
DX推進において欠かせない要素となります。
しかし、このような高度なスキルセットを備えた人材を確保することは容易では
ありません。
DX推進のための課題は、ますます複雑化し、企業に大きな負担をかけています。

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業務知識とビジネス感覚・リーダーシップと変革力
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単に課題を認識するだけでは不十分です。人材育成の方法や組織制度自体を変え
なければ、現状維持にとどまってしまうでしょう。
DX時代に求められるのは、業務全体を俯瞰し、技術を活用して企業価値を高める
方法を理解する人材です。さらに、現場を横断し、チームを牽引し、組織全体の
意識を変革できるリーダーシップを持つ人材も必要です。
経営者と従業員が一丸となり、自社や自部署の組織機能や活動方針をDXに合わせて
変革できるかどうかが、成功の鍵となるでしょう。

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おわりに
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この課題を克服するためには、従業員のリスキリングやアップスキリングが不可欠
です。ITスキル標準(ITSS)からは始まった、i コンピテンシー ディクショナリ
(iCD)、ITSSプラス(ITSS+)、DX推進スキル標準(DSS-P)の歴史を振り返ると、
スキル体系ではなく、タスク体系が重要であることが明らかになっています。
自社や自部署がどのようなビジョンを持ち、どの方向に向かうのかを再確認し、
必要なD Xスキルに基づいてリスキングを進めるべきです。
世間で注目されるITスキルや資格に飛びつく前に、自社のビジョンとミッション
を明確にし、そこに向かうための具体的な組織づくりに注力することが重要です。

技術と業務の橋渡しを担う「DX人材」の育成こそ、これからの企業成長のカギと
なるでしょう。過去に「システム部門は紺屋の白袴」と言われた時代を繰り返さ
ないためにも、システム部門自ら革新の先頭に立ち、顧客やユーザのD X推進を
支援していきましょう。