●『DX人材育成はこわくない』
株式会社日立製作所 人財統括本部 デジタルシステム&サービス人事総務本部
人事企画部 タレントディベロップメントグループ 小野 綾子
「御社のDX人材育成について紹介してください」
ここ数年、こんなご依頼をいただくことが多く、お話させていただくことがあります。
私は当協会のコンサルタントとして認定されていますが、
いつもは日立製作所のITを生業としている部門のHRとして、従業員の人材育成を担当しています。
その中で、iCDを活用していることが縁で『スキル標準活用認定コンサルタント』になりました。
このコラムを読んでくださっている方の中には、
私と同じように企業内の人材育成に取り組まれる方もいるかもしれません。
私が日頃感じていること、悩みながら取り組んでいることを共有させて頂き、
もしもよろしければみなさんのご意見をお聞かせください。
日立グループは業務の領域がとても広く、家電から鉄道、発電所まで幅広く社会に価値をお届けする会社ですが、
ITを生業としている私たちの部門はITベンダーと思っていただけるとわかりやすいかと思います。
お客様企業の情報システム部門の方々と長いお付き合いをさせていただいております。
システムエンジニア(SE)が多い部門で、30年くらい「情報処理技術者試験」「ITSSスキル標準」
「プロジェクトマネージャー育成」を軸に育成制度を作り、
その時々の担当者が時代に合わせて、社内認定制度を作ったり、アセスメントの方法を修正したりしてきました。
IT分野には業界標準があるので、これを軸にして考えることができるのはありがたいと思っています。
最近の「DX人材育成」の波はなかなか大きいですね。
みなさんと同様、私もビジネスの変化に合わせて人材育成を考える中で悩みはつきません。
私が心に留めていることがあります。
「仕事の中身はそんなにすぐには変わらないのだから、過去を否定しない」ということです。
大きな変化の時ですし、変化のスピードの速さに驚きます。
しかし、目の前にやるべき仕事は変わらずにあって、それが変化してる、と考えるのはいかがでしょうか。
DX人材育成にただ1つの正解があるわけではなく、それぞれのビジネスにおいて役割定義しながら取り組んでいくもので、
従来のiCDの活用と同じと考えています。
役割を定義し、それを診断する方法を活用し見える化したら、目標とのギャップを埋めるために育成方法を検討し、
育成のサイクルを回して、ビジネスを成功に導く。
結局、基本に忠実に繰り返すのが大切です。もちろんそこには、いくつもの工夫やコツがありますが。
「IT業界は力強い」と感じるのは、DX人材についても各所で業界標準が整理され始めていることです。
ガイドラインなどはとても参考になります。
しかしながら、結局は各社のビジネスに応じて役割定義が必要ですので、
従来の人材育成で進めていたことを同じ事をやればいいわけです。
従来の役割に新しいものを追加していくだけと考えれば、DXも怖くないですね。
そのために私たち人材育成の実務者も、自社のビジネスがどんな方向に進んでいこうとしているのかを知り、
必要な知識を学びながら日々の小さな一歩の積み重ねで未来を作っていく、と考えています。
みなさんの会社ではどんなふうに進めていますか?
いやいや違う、もっとこんなやり方がある、というようなご意見もお寄せいただき、私も勉強させていただきたいです。
協会のお問合せフォームからご意見をお寄せください。